不安な気持ちを抱えたいたままだったから、足元が疎かになっていたのだろう。
上の方で、階段を踏み外した。
落ちる!!
真っ逆さまに落ちることはなかった代わりに、左腕に強い力が加わった。
見上げると、一緒に歩いていた彼が右手で私を掴み、左手は手すりにかかっていた。
男の人って、落ちそうになっている人間をこうして支えられるものなのかと思った。
ならば、先程の男子たちに引きずられるようにされた腕を振り解けなかったのも無理はない。
こうして力で私を助けてくれている彼に感動を覚えたのと同時に、彼を疑った自分を恥じた。
「足挫いてなきゃ、いい加減ボケーっとしてないで体勢整えてくれない?
お…ゲフッ、ゴホッ。」
その言葉に、私は慌てて立ち上がった。
「ご…ごめんなさい!
重かった…でしょう?」
「いや、その、さっきの言葉はアヤというか、何ていうか…。」
今度は、彼が慌てる番だった。
多分「重い」って言いかけたところで、失礼な言葉だと思い直して咳払いで誤魔化したのだろう。
その慌てぶりに、笑いがこみ上げてきた。
不安が払拭されたからか、周りを見る余裕が出てきた。
自分が生徒会に所属しているのもあって、少しでも興味深いものがあるとつい目がいってしまい、人や物にぶつかりそうになるのもしばしばで…。
講堂まで向かう少しの間だというのに、何度も助けられた。
上の方で、階段を踏み外した。
落ちる!!
真っ逆さまに落ちることはなかった代わりに、左腕に強い力が加わった。
見上げると、一緒に歩いていた彼が右手で私を掴み、左手は手すりにかかっていた。
男の人って、落ちそうになっている人間をこうして支えられるものなのかと思った。
ならば、先程の男子たちに引きずられるようにされた腕を振り解けなかったのも無理はない。
こうして力で私を助けてくれている彼に感動を覚えたのと同時に、彼を疑った自分を恥じた。
「足挫いてなきゃ、いい加減ボケーっとしてないで体勢整えてくれない?
お…ゲフッ、ゴホッ。」
その言葉に、私は慌てて立ち上がった。
「ご…ごめんなさい!
重かった…でしょう?」
「いや、その、さっきの言葉はアヤというか、何ていうか…。」
今度は、彼が慌てる番だった。
多分「重い」って言いかけたところで、失礼な言葉だと思い直して咳払いで誤魔化したのだろう。
その慌てぶりに、笑いがこみ上げてきた。
不安が払拭されたからか、周りを見る余裕が出てきた。
自分が生徒会に所属しているのもあって、少しでも興味深いものがあるとつい目がいってしまい、人や物にぶつかりそうになるのもしばしばで…。
講堂まで向かう少しの間だというのに、何度も助けられた。


