Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)

「優、花を貰ったらきっと喜ぶわ。

学校に着いたら、バケツにでも入れてね。」



お袋が大事に育ててる咲いたばかりのチューリップを、庭から摘んでくれた。



今から学校行くっていうのに、花!?



ちょっと勘弁して欲しかったけど、好意を無駄にするのは悪いと思って受け取った。



学校に着いたら、案の定



「優、どーしたんだよその花…。」



「まさか、聖女のお嬢様にプレゼント?」



「優が花あげるとか、似合わねー!」



悪友たちに冷やかされた。



「この花、そのまま渡す気?」



花見に聞かれたので頷くと、花見は頭を抱えた。



「優、聖女の子にはいつ会うんだ?」



「午後の授業、バックレて行こうと思ってる。」



放課待ってたら、翠子の学校に着く頃には帰ってるはずだ。



「戻ってくるまで、待っててくれるか?

俺、ちょっと4限サボるから。」



花見はそう言うと、チャリ通のクラスメイトにチャリ借りてどこかへ行った。



昼休みが始まってすぐに戻ってきた花見は、セロファンやリボンを抱えていた。



「プレゼントするなら、ラッピングくらいしないとな。」



「澤弥、それどうしたんだよ?」



「店にあったの、ちょろまかしてきた。」



おいおい…、良いのかよ?



花見は華麗な手つきで、あっという間に花にラッピングを施した。



「すげー!タク、そんな特技あったんだ?」



「まるで、店で売られてるものみたいだぜ。」



周りで見てた奴らが、花見を賞賛した。



「ってか、俺んち花屋…。」



花見の呟きが聞こえたのは、俺だけだと思う。