Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)

翌日、早く帰ってきた親父とクッキーを作る。



「親父がクッキー作れるとは、意外だった。」



「クッキーしか、作れないんだ。」



そう言って、親父は生地を麺棒で伸ばす。



「大昔、今の俺みたいに金無くて手作りしたとか?」



「まぁ、高校生…んっん!」



何か言いかけてた親父は、咳払いをした。



「じゃあ、最初に作ったの高…。」



高校の時なのか聞こうとしたら、凄い勢いで睨まれた。



「何年振りかしらね、お父さんのクッキー。

新婚のころは、よく作ってくれたのよ。」



なんて、お袋が嬉しそうに言いながら、キッチンに入ってきた。



大昔、余所の女に作りました…とは、お袋の耳に入れたくないワケか。



クッキーができあがる頃、どこかに出かけてた姉貴が帰ってきた。



「優、105円頂戴。」



「何で?」



「クッキー包むビニール袋、要るでしょ?

100均で買ってきた。」



おおっ、珍しく気が利くじゃん!



冷ましたクッキーを1つずつ袋に入れていると、姉貴が可愛い手提げの紙袋をくれた。



そして、ホワイトデー当日の朝を迎える。