Sour & Sweet(バレンタイン&ホワイトデー企画)

夜遅く、親父がウチに帰ってきた。



「親父、頼む!

小遣い前借りさせてくれ!!」



床に頭をこすりつけるように、土下座した。



俺は翠子の学校前で待って、謝ることにしたんだけど…。



明後日はホワイトデーだし、まさか手ぶらで行くわけにはいかない。



「高級チョコの子か?」



さすが親父、話が早い!



「そう、だからそれに見合うお返しを買いたい。」



てっきり、認めてくれると思いきや…



「断る。」



一蹴された。



「何で!?」



かなりみっともないが、俺は親父の足に縋りついた。



「まぁ…とりあえず座れ。」



親父は俺にダイニングテーブルに着くように促すと、自分も向かいの椅子に座った。



「なぁ優、家が裕福じゃないことは分かっているよな?

相手の女の子が、あのチョコに見合うお返しを強請るような子なら…。

はっきり言って、付き合いはやめた方がいいと思う。」



「いや、翠子はそんなこと一言も言って無いし。」



「じゃあ、優ができる範囲でお返しをあげたら良いんじゃないか?

プレゼントは、高ければいいというものじゃないだろう。」



小遣い殆ど無いのに、どうすりゃ良いのさ?



「手作りっていうのも、良いものだ。」



…はい?