ホワイトデー前の休日、優さんと会えることになった。



しかも、1日デート!



何を着て行こうかしら?



そうだわ、この間お見かけた女性のようなミニスカートを穿いたら、喜んでくださるかもしれない。



とはいえ、膝より短い丈のスカートは持っていない。



「そのような服、お嬢様に相応しくありません。」



デパートの外商さんに頼もうとしても、使用人に一蹴された。



優さんの好みに、合わせたかっただけなのに…。



庭で佇んでいると



「翠子様、風邪をひきますよ。」



声をかけたのは、庭師の息子さん。



「浮かない顔して、何かありました?」



私は、服装について私に仕えている使用人に反対されたことを話した。



「今時、ミニスカートくらいで目くじらたてるオッサンが頭固過ぎなんだよな…。

そうだ、明日一緒にコッソリ買い物しちゃいましょう。」



「宜しいですの?」



「大学終わったら、車で迎えに行きます。」




 ■■■■■■




翌日、約束通り学校まで迎えに来てくださった。



「彼女が働いてる店で良いですか?姫系なんだけど…。」



姫系という言葉がさっぱり理解できなかったけれど、アドバイスしていただけそうだったので了承する。



お店に入ると、ミルクティ色に染めた髪を巻いた女性が服をコーディネートしてくださった。



彼女のように髪を染めることはできないけれど、今度のデートで髪を巻いてみようかしら?



「翠子様、可愛い!

絶対、彼氏のハートをゲットできますって!!」



だと、良いなぁ…。



スカートだけのつもりだったのに、髪飾りから靴まで一式購入してしまった。



「翠子様付きのオッサンに見つかったら面倒だし、休憩時間見計らって帰りましょう。」



言うとおりなので、お茶をしてから家に帰ることにした。