「付き会うのは断っておいて、何でメアドなんか交換したんだ?

それに、住む世界が違いすぎるだろ。」



さっさとOKしろと囃し立てる友人たちの中で、唯一黙ってた花見(ハナミ)が口を開いた。



「いきなり振るだけっての、可哀想だから…かな。」



「ふーん、同情?」



違う…とは言い切れない俺は、花見の言葉に反論できなかった。



「タク、住む世界って…別に、結婚前提で付き合うわけじゃないだろ?」



「そうそう、高校の3年間なんて短いんだから、今が楽しけりゃいいって!」



友人たちの口撃は、俺から花見に移ったらしい。



聖女が俺に告るという異常現象でパニくってた状態から、少しは翠子のことを考える余裕ができた時、彼女のことを何も知らないまま断るのはどうかと思った。



何で翠子が、俺なんかを好きになったのか分からないけど…。



とりあえず友達で…って考えるのも、悪くないはずだ。



別れ際、花見が俺に声をかけた。



「優、悩みがあったら相談に乗るからな。」



「じゃあ澤弥(タクヤ)、身長3cm分けてくれ。」



翠子は、俺より心なしか背が高い。



だから、あまり近寄られるとキツイ…。



「無茶言うなよ。

仮に出来ても、俺は優と大して変わんないから断る!」



「相談乗るって言ったろ?」



「俺だって、好きな女よりチビなのは嫌なんだよ…。」



「澤弥って、好きな奴いたんだ?誰だよ?」



しつこく聞いたら、渋々教えてくれた。