名前を教えろ…だって!?



確かに前に会った時、お互い名乗らなかった。



名乗る必要がないのもあったけど…。



だけど俺の同級生に、聖女出身の余合梨香(ヨゴウ・リコ)がいる。



友達なんだろ?聞けよ!!



泣かれたら面倒だから、ツッコミは心の中だけに留めておく。



「野田優(ノダ・スグル)、優れるっていう字を書くけど、優秀とは無縁。」



「優さんは…お名前のとおり、お優しい方ですね。」



翠子が微笑む。



「別に、優しくなんか…ないよ。」



俺はそう言い放つと、心なしか熱くなった顔を背けた。



元々は、少し大人びた顔立ちの翠子よりも、余合みたいな童顔が好みだ。



ってか、余合の方が胸デカイし。



だけど翠子って、笑うと少し可愛い…。



メアドを交換して、翠子とは別れた。



俺は、友人たちの口撃を受けながら帰路についた。



「聖女のどこが不満だよ?」



別に、不満ってワケじゃない。



「聖女の乙女に告られるチャンス、金輪際ないだろーが!」



確かに、平凡な俺には二度とない。



「まぁまぁ、とりあえず聖女のメアドをゲットした優の評価は認めてやろうぜ。

優、あの子の友達を俺たちに紹介してくれ、絶対レベル高い可愛い娘いる!」



おいおい…、人をダシに使うなよ?



聖女の制服を着た女子を目の当たりにしてテンションが高くなってる悪友たちの言葉に、俺は少し呆れていた。