そんな俺に、喜美の母親が近寄り、小さな紙を俺の目の前に差し出す。 「……こ、これは?」 泣きすぎて、声にならない声で喜美の母親に言う。 「喜美が亡くなる時に握っていた紙よ。きっと、歩くん宛だと思うわ。」 そう言って、俺の手の中にしっかりと握り込ませてくれた。 .