運転席に乗り込んだ高原さん。
シートベルトを着けて、エンジンをかけて、冷房を調整して…そんな高原さんの一連の動作をすべて目で追ってしまう。
だってその一つ一つの動作が、普段お父さんやお兄ちゃんがやってるのを見てるのとじゃ、違う感じなんだもん。
恋をしたら、いろんな事がキラキラして見えるんだよね。
好きな人がすることって、何でも素敵に見えてしまう。
高原さんは車を発進させながら、
「まずは、ソースの材料から行きますか。」
「どんな新作考えてるんですか?」
私が聞くと、高原さんは運転席側のドアポケットからリングノートを取り出して私に渡してくれた。
ノートを開くと、そこには…
「わぁ…。これ、みんな高原さんが考えたスイーツですか??」
「うん、まだ実現してないものばっかりだけどね。ほら、2ページ目のいちごの奴。」
言われてページをめくると、
「あ、いちごチャン!」
「そうそう、それも何かいまいちピンっとこなかったんだけど、えみチャンのおかげで納得いくのができたよ。」
前を見ながら、嬉しそうに笑った高原さんの横顔にまた見とれる。
そして一番新しい新作ページを開くと、
そこには…
「可愛い!お花がのってる!」
真っ白なドーム型の生地の上にお花がのってるなんともメルヘンな可愛いスイーツ。


