「おい、えみ…」
やっと目が覚めて、しゃんとしたのかお兄ちゃんが鈴を見て、状況を私に聞こうとした…
「お兄ちゃん、もう暗いから鈴送ってってあげてよ。すぐそこの辺だけどさ。」
私はお兄ちゃんに鈴の送りを頼んだ。
すると、鈴は恥ずかしそうにふるふると頭を横に振る。
でも、私より先に…
「鈴チャン、送ってくよ。」
「え、ぁ、ちょっ…」
お兄ちゃんが、鈴の手を握って歩き出した。
くくっ。鈴慌てて可愛いっ♪
お兄ちゃんも、送ってくよ、じゃなくて送らせて、って言えばいいものを~。
「鈴っ!」
ちょこんとお兄ちゃんの横を歩く鈴を呼んだ。
ちょっと赤い顔で振り向いた鈴に、
「泣いちゃったおわびだから!」
そう叫んだ。
鈴はコクンと頷くと、ちょっとお兄ちゃんを見上げてから、私にとびっきりのはにかみ笑顔を向けた。
それから、お似合いな2人の後ろ姿を眺めてから、家に入った。


