「ありがとう、鈴。送ってくれて。」
「ううん。また話したくなったら、いつでも電話してね?」
「うん。」
「じゃあね、また明日…」
「え、鈴っ…待って!」
そう言って、帰りかけた鈴を私は慌てて止めた。
私が泣いちゃって、もう暗い。
そんな暗い夜道を可愛い②親友を歩いて帰らせられない。
というわけで、
「ちょっと待ってて。」
私は鈴にそう言って、一目散に家に飛び込んだ。
――――――ドドドドドドドっ・・・・・
自分でもさすがにヤバいと思いながら、すごい音を立てて階段を登った。
――――――バァァァァーーーン!
事件かと思うくらい勢いよくドアを開ける。いや、ぶち破るに近い。
「お兄ちゃん!!!」
「何だ…よ、騒々しい…ぞ…妹ぉ。」
うたた寝していたお兄ちゃんが、寝起きで不機嫌そうにベットから起き上がる。
そんな兄貴の腕を引っ張り、階段を降りて玄関の外までたどり着いた。
「えっ、えっ、誠二くん??」
待っていた鈴は、私がお兄ちゃんを連れてきたもんだからビックリした。


