彼の部屋の前で見送りを断るのも、強がり。


本当は、新幹線のホームまで来て欲しい。


でも、そこまで一緒にいたら、扉の閉まる前、彼の腕をひっぱって、新幹線に乗せてしまうかもしれない。


ばかばかしいけれど、そんなことしない……っていい切る自信はない。


だから、部屋の前でバイバイをして、涙をこぼす前にアパートを脱出する。


涙なんて、見せたくない。


京都の大学を選んだのは彼だけど。


遠距離恋愛を選んだのは私。


それに、彼には笑った顔を思い出してもらいたいから。