求命

「く、来るな・・・。」
拳銃を構え、無意識に口にした。
男にその声は聞こえない。理解できない。むしろ更に挑発していると思われた。
「くほんおおおおんんん。」
来た。五十メートルを一瞬でゼロにする男だ。十メートルほどしか離れていない山本のところに来るなど、すでに隣にいるのも同じだった。
五発、音が響く。山本は恐怖に完敗した。結果、五発も発砲してしまった。
額から血を流し、男は突っ伏していた。
殺すつもりはなかった。けど、殺してしまった。山本は拳銃を構えたまま動けない。
「あ、あぁ、あああ・・・。」
涙が流れてきた。