大伍の独り言は終了した。それからは何もない。ただ、ベンチに座ってのんびりしている。その姿は遠くから見れば、散歩途中にベンチで休んでいる老人のようだ。
「あいつ、毎日こんな事しているのか?」
ニートとは聞いていたが、この姿を見る限りニート以上のものを感じる。生気と言うものがまるで感じられない。いったい何のために生きているのか、そう問いたくなる姿だ。
時計の長針は二回転した。その間の変化、それは足を組み直したくらいだ。
「・・・。いったい、いつになったら動くんだ?」
山本は呟く。
「さぁ?」
香川は返した。
「なぁ、香川。腹へらないか?」
「はいはい、何がいい?」
催促しているのは明らかだ。香川は山本に聞いた。
「カレーパンとホットドック、それから・・・。」
「いったい、いくつ食うんだよ。」
その時だ。大伍が立ち上がった。
「お、おい。やつが立ち上がったぞ。」
大伍はそのままどこかに行こうとした。
「後を追うぞ。」
結局、山本はカレーパンもホットドックも食べられなかった。