「あなたは・・・何か仕事とかされてますか?」
よく自分の事を見かけると言っておいてこれだ。毎日、公園に、それもこんな時間に来ている男が仕事などしている訳がない。そんな分かりきった質問に答える必要などあるだろうか。そう思ったが、何故か答えてしまう自分がいた。
「し、してないです。」
それを聞き、男は笑った。
「それは良かった。」
何がいいと言うのだ。内心むかついた。が、やはり文句すら言えない。
「良かった?」
「はい、実は仕事を頼める人を探していたんです。それも誰でもいいと言う訳ではない。適正がとても大切なんです。その仕事を出来る人を、ずっと、本当に長い間探していたんです。まさに、あなたは理想の人だ。どうですか?仕事を引き受けてもらえませんか?」
人生の中で、ここまで褒められたのははじめてだ。少し気恥ずかしい気もするが、悪い気はしない。ただ、仕事と一口に言われても色々ある。大伍はまず内容を聞く事にした。
「仕事?仕事と言いますけど、どんな仕事ですか?」
「実に簡単です。」
また、男は笑った。