-雲雀翔歌- 深く青い水の畔に一総はいた。 そこは畑を流れる水路の源。 豊かな水を湛えた深い淵であった。 一総は、仕事が落ち着くと必ずここを訪れた。 畑の木々のざわめきと、水の面を吹き抜ける風がたてる波音は彼の荒みがちな心を癒した。 ここが唯一、俺が素でいられる場所…。 彼は柔らかな下草が茂る地に胡坐し、肩に掛けた包みから彼の家に代々伝わる竜笛“黒鳶”を取り出し自らの傍らに置いた。 しゅるっ 一総は、頭の後ろで固く結ばれた紐を解き顔の半分を覆っていた鬼面を外した。