鬼神の舞

-梅が香-

「金平様、一総様、都よりの遠路…お疲れ様でした。」

一行が到着したとの知らせを受けて、梅兼は妻と庄の仲間と共に二人を出迎えた。
将之は庄民への挨拶もそこそこに、梅兼の手を借り馬を降りた。
その時、彼と接する梅兼の表情が僅かに強張るのを垣間見て一総は面の下で眉を顰めた。


梅兼にも、昨夜の深酒を気づかれたか…。


どうやら、今日は視察どころではなさそうだ。
馬の背に揺られ、再び酔い戻しが来たのだろう。

あの男にとって、ここでの仕事は適当に庄内を散策し庄民が細々と食す糧を食い潰す事くらいなもの…。
ならばいっその事、今日一日寝込んでいてくれた方が人の為になると言うものだ。


その方が、俺の仕事も捗る。

一総は、心の中で呟いた。