鬼神の舞


宗方一総は、極端な面嫌い(おもぎらい)なのだそうだ。
面嫌いとは、つまり…人見知りという事だ。
人と接することが苦手、いや、真白に言わせるとそれはすでに人嫌いの域に達すると言う。
面嫌いもそこまで行くと、むしろ病の様なもので…彼は初めてここに来た時から今に至るまで、一度もその素顔を庄の者に見せたことがないらしい。


「素顔を見せない?そんな事ができるのか?」

「一総様は、目元を面で隠されているの。とにかく人に顔を見られることがお嫌らしい…。」

「ふん。面嫌いとは面倒だな。幼子でもあるまいに。」

焔は、呆れた様に言うと首を振った。


その様な人間が、よくも庄士に仕える事ができるものだ。

焔の言葉に真白が、彼女の耳元で声を潜めて答えた。


「それはね…庄士の金平将之(かねひらまさゆき)様の人望が…。」

「ないのか?」

「ええ…全く。だから、金平様の下に仕える者がいなかったの。」

焔は、絶句した。