焔は、暗闇に目を凝らした。 神鳴から借りた目は、さすが鬼神の物だけある。 闇を見通せと念じた彼女の視界は、真昼のように明るく見えた。 あれは…。 “去ぬるぞ…。” そう言いながらこちらへ来たのは、使い込まれた古い鍬と鋤だった。 「お前達、何処へ行く!」 焔は、両手を広げ彼らの前に立ちはだかった。 “うぬ…。お前には我らの声が聞こえるのか。” 鍬と鋤は焔の前でピタリと立ち止まると低い声で訊ねた。 古びた農具の後ろには、身なりの貧しい痩せた男と口の大きな太った男がぼんやりと立っていた。