焔は、その様子に暖かな眼差しを向けていたが頃合を見てその場を去ろうとした。
彼らに別れを告げようと彼女が口を開いた時、真白の父が焔に向かって手招きした。


“今夜はもう遅い、夜道を一人で帰す訳にはいかない。どうか今夜は我が家に…。”

父の言葉に、真白も嬉しそうに頷き焔の手を取り共に行くことを促す。



ついさっき出逢ったばかりの身元のわからぬ娘を家に招き入れるなど、止した方がいい…私は帰る。


焔はそう言い、頑なに彼らの誘いを拒んだ。
だが、彼女のそんな態度に真白の父は好意を抱き、更に“是非に”と宿泊を勧めた。