焔は、橋の向こうにぼんやりと浮かんだ町並みを目を凝らして見つめた。 そして、フッと短く息を吐くと軋む檜の橋を一歩…又一歩と歩き出した。 ぎしっ…ぎしっ。 焔は、僅かに撓う橋をゆっくりと歩いた。 地に足が着いている…何かを踏みしめて歩むという感覚は本当に久々のことだった。 焔の胸はドキドキと高鳴り、彼女は息苦しさのあまり橋の真ん中の欄干に掴まり深く息を吸った。 胸いっぱいに取り込まれた空気は、シンと冷たく少し饐えた匂いがした。