町の上空で雷雲はピタリと止まった。
「焔、着いたぞ。」
神鳴は、暫しの間彼を見上げる焔の顔を名残惜しそうに見つめていた。
しかし、やがて意を決すると腰に下げた小槌を外し彼女の手を取り両の掌にそれを乗せた。
「これは…神鳴の大切な物だろう?今まで何度頼んでも、決して触らせてはくれなかったのに。」
「そうだったな。焔…それは宝の小槌だ。」
彼の言葉に、焔は耳を傾けジッと聞き入っている。
「どうしても成就したい願いが出来たなら、思いを籠めてそれを振るのだ。但し…願いが叶うのは一度きりだぞ。」
その言葉に、彼女は頷くとニッコリと微笑んだ。


