鬼神の舞


-異形の面-

二人が梅兼の家に戻ると、彼らの安否を気にしていた家人達は騒然となった。
傷を負い一総の背でグッタリとした焔に真白は驚き涙をこぼし、愛馬の暴走騒ぎに睡眠を妨げられた将之は、激怒し真っ赤な顔で馬番の者を叱責していた。
一総は焔を梅兼の妻に預け何か耳打ちすると、まだ怒り収まらぬ様で苛々と土間を歩き回る将之に歩み寄った。


「庄士殿、庄の検地は完了致しました。花の生育も順調にございました。」

彼の前に立ちはだかった一総が、低く落ち着いた声で仕事の完了を告げると将之は足を止め、漸く落ち着きを取り戻した。
己よりも遥かに背が高く、恐ろしい鬼面をつけた部下が漂わせる陰気な雰囲気は将之にとっては薄気味が悪く、居心地が悪いものでしかなかった。