ずるずる…。
「っ…。痛っ。」
手首の焼けるような痛みに、焔は目を覚ました。
徐々に眼前に迫り来る水が発する冷たい気の流れに、彼女は初めて恐怖を覚えブルリと身震いした。
このまま水路に引き込まれれば、彼女は鬼の力を失い死ぬだろう。
こんな死に方はもう嫌だ!
焔は、地に這い蹲り自由な左手で地をガリガリと掻いた。
「私はまだ死ぬ訳にはいかない。手を離せ!」
焔は、ぐいと顔を持ち上げ水鬼を睨み叫んだ。
“焔、水の中ではおらには勝てねぇぞ。諦めろ。”
「嫌だ!」
水鬼は抗う焔の顔を覗き込み、醜悪な笑みを満面に浮かべた。
ずっ…ずずずっ
焔の体は、川辺から肩から上がはみ出し彼女は必死で草の蔓を掴んだ。


