“おらの楽しみを台無しにしてくれた事だしな。代わりにお前の生き胆でも貰うとするか…。”
水鬼は、焔に向って言うとペタペタと畑道を駆け下り彼女の傍に立った。
そして、頭の先からつま先までじっくりと眺め首を傾げた。
“見た目は普通の人の娘の様だがなぁ…。おらの姿が見えるという事は、この目が怪しいか…。”
彼は屈み込み、固く閉じた焔の目を覗き込んだ。
“おおっ、これは…千里を見渡せると噂の千里眼。さては、こいつも鬼の仲間か…。ならば、この体のあちこちにも様々な力が宿っているにちげぇねぇ。”
ざぶん
水鬼は身を翻し、水路へ飛び込むと水をかいた。
彼の水を得た皮膚は弾力を増し、指の間には大きな水掻きが現れた。
“続きは淵の底でのお楽しみって事だな。”
水鬼は水から腕を伸ばすと、焔の片手首を掴み力任せに引いた。


