「あれ?」 焔が片眉を上げ、キョロキョロと辺りを見渡した。 「どうした?」 「うん。何かがこっちに来る…。」 一総の問いに、焔が答え気配のする方角を指差した。 その指が指し示す先を見て、一総は驚き声を上げた。 どどどっ、どどどどっ 乾いた土を蹴り上げ、こちらに向って物凄い速さで掛けて来る獣。 それは、金平将之の愛馬であった。 “暴れ馬だ!皆道を開けて逃げろー!” 馬の遥か後ろを、畑番が両手を振り大声で叫びながら走ってくるがすでに彼の足は限界を向え、今にも翻筋斗打ち前へ転げそうだった。