鬼神の舞


-馬盗人-

梅兼の家へ向かう道を二人は黙したまま歩いた。
正直なところ、焔にとって一総はとても興味深い人間だった。
“面嫌いの若武者”はそれを微塵にも感じさせぬ程穏やかであったし、何よりも彼の顔を隠す鬼面は鬼の彼女にとってとても気になるものだった。

但し、彼の宿す雰囲気は、焔を無防備にする危うさがあった。


油断すると鬼である事を自分自身で言いかねないな…気をつけよう。

焔は、胸の中で呟きキュッと口の端を引き結んだ。


そんな焔の様子を、チラリと横目で見ながら一総は歩いた。
梅兼の屋敷に近づくにつれ、彼の心は暗く沈んでいった。
離れに戻れば、再びあの金平将之の相手をせねばならぬのだ。


ああ…気が重いな…。

彼は、傍らを歩く焔が驚き見上げる程の大きな溜息をついた。