以前ママは父の子を身籠っていた。
俺の実の母の死よりもずっと前に……
一度は愛する男の子供をたった一人で育てる覚悟であった。
しかし母の死をきっかけに、強引に、そして積極的に父を手にいれたのだ。
彼女は父と愛する者の子を同時に手に入れた。
その後、繰り返された父の浮気……
そして、早すぎる死。
そのショックの大きさから、現実は彼女が身体に宿す新しい命すら奪っていったのだ。
俺と云う“実”を育てる事により、彼女は無くした愛を取り戻し、十数年に渡るやり場のない悲しみと憎しみと愛情を、再度形として残したのである。


