妄想ホワイトデー《短編》

次の日、俺はバイトを休んだ。


歩ちゃんはバイトが終わるとすぐに電話をかけてきた。


「はい…」


「あっ雄大くん?どうしたの?具合でも悪いの?」


「別に…」


「急に休むから心配しちゃったよ?」


俺の事なんか心配じゃないくせに…心配じゃないくせに。


「心配するふりなんかしなくていいよ」


「…えっ!?」


電話の向こうで、歩ちゃんが驚くのがわかった。


「昨日は何してたの?俺が知らないとでも思ってる?」


「昨日…?」


「俺が歩ちゃんの事を考えてる間、歩ちゃんはいったい誰の事を考えていたんだよ!」


「雄大くん?待って、それはね…」



俺は歩ちゃんの言葉の途中で電話を切った。