妄想ホワイトデー《短編》

家に帰ると、母親の声を無視して部屋に行った。


ポケットの中からプレゼントを取り出す。



グシャッ!



力を込めたら、箱は簡単に潰れてしまった。




歩ちゃんは、俺の事、好きじゃなかったのかな。


俺だけ…浮かれていたのかな。


バカみたいだよ。


この箱のように、俺と歩ちゃんの関係は、簡単にダメになっちゃうようなものだったんだ。




俺は右手を振り上げると、箱を壁に叩きつけようとした。


だけどできなくて…。


その箱を、机の上にそっと置いた。