妄想ホワイトデー《短編》

「荒川くん、なかなかセンスあるじゃん!きっと彼女喜ぶよ!」


「そうかな」


京子ちゃんに褒められて安心した俺は、ペンダントの入った箱が潰れないように、そっとポケットに入れた。




ハートがぶら下がった、シルバーのネックレス。


いつでも着けてて欲しいから、石のついていないシンプルなもの。


大好きな歩ちゃんに、きっと似合うよ。


歩ちゃんの白い胸元で、このペンダントがキラキラ輝く様子が頭に浮かんだ。


早く、歩ちゃんにあげたいなぁ。


早く、歩ちゃんを喜ばせてあげたい。






その時だった。


俺達と車道を挟んだ反対側に、歩ちゃんの姿が見えたのは。


歩ちゃんは…。


俺の歩ちゃんは…。


男と二人で楽しそうに歩いていたんだ。