妄想ホワイトデー《短編》

何故か京子ちゃんが先頭をきって歩き、一軒の店の前で立ち止まった。


「このお店がお勧めだよ!今、結構女の子に人気のブランドなんだ〜」


俺達は京子ちゃんの言うがまま、中に入った。


俺一人じゃ、とてもじゃないけど入れなかったなぁ。


菊地にっていうより、京子ちゃんに感謝かな。



俺は緊張しながらも、京子ちゃんのおかげで、ゆっくり店内を見ることができた。



ショーケースの中の一点に目が止まる。


あっ…これ…歩ちゃんに似合いそう!


どれどれ、値段は…?


…げっ!!




悩んだ末に、俺はそのペンダントを買った。


今月のバイト代は全部パーだけど…。


歩ちゃんに1番似合う物をあげたかったし。


なによりも、歩ちゃんの喜ぶ顔が見たかったんだ。