妄想ホワイトデー《短編》

おっと。


肝心な事を言い忘れるところだった。


「菊地、今日ヒマ?」


「部活あるけど…」


「頼む!今日だけ付き合って!」


手を合わせて頼む俺を見て、菊地はしぶしぶ了解してくれた。




今日は俺も歩ちゃんもバイトは休み。


歩ちゃんも用事があるみたいだったし。


俺はホワイトデーのプレゼントを買いに行くつもりだった。


もちろん、歩ちゃんには内緒で…。


だけど何がいいか迷っちゃうし、一人で女の子の店に入るのは気まずいし…。


だから、菊地を誘うことにしたんだ。


ちょっと頼りないけどさ。




「ジュース一本…」


「は?」


「おごりね…」


意外としっかりしてるな、こいつ。