妄想ホワイトデー《短編》

「何一人でブツブツ言ってるの…変態…?」


「ばか!お前こそなぁ、そんなに寝てばっかりだと脳みそ腐るぞ!京子ちゃんにも嫌われるぞ〜?」


菊地は表情一つ変えずに言った。


「嫌われない…」


「なんでわかるんだよ。他の男にとられるかもよ?」


「大丈夫…京子は俺のこと好きだから…」


「お前…すごい余裕なんだね」


「信じてるから…」




信じてる…か。


菊地くらいモテモテだと、これくらい余裕を持てるのかな?


俺なんて…歩ちゃんを他の男に取られるんじゃないかって、いつも心配なのに。


ちょっと、菊地が格好よく思えた。




いや、変な意味じゃなくて。