妄想ホワイトデー《短編》

ホワイトデーまであと三日となった。


俺は机につっぷして寝ている菊地を揺すった。


「おい、菊地!起きろって」


「ん〜…。ぐぅ〜」


「こいつ寝過ぎだろ。…ああっ!京子ちゃんがあんな格好で!」


「ふぇっ…。ななななんだって!?」


菊地はガバッと体を起こすと辺りを見回した。


「ばぁ〜か。嘘だよ」


「なんだよ…」


眠りを妨げられた菊地は明らかに不満げな顔。


いつもぼーっとして感情の起伏が少ない菊地の、慌てた様子を見るのはちょっと楽しかったりする。


サッカーをしてる時は別人なんだけどね。


ボヤッとしてるくせに女の子にモテモテの菊地を、羨ましく思ったことは何度もあるけれど。


今は俺だって。


歩ちゃんという、かわい〜彼女がいるんだもんね!