雫は、笑っていた。 寂しげなわけでもなく 楽しげなわけでもなく 教師をやってきて いろんな人と触れ合ってきた俺だけど この時の雫の笑顔ほど よくわからないものはなかった。 「てかさー」 彼女たちにとって さっきの会話はもう過去なのだろう。 コロコロと話題を変える彼女たちに 雫はもう一度静かに笑って 俺の側をそっと離れていった。