憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

「彼女はモデルだぞ! 彼女に怪我を負わせ、その処置もままならないような奴は俺のチームにはいらない!!」

北斗のその言葉に、スタッフは息をのんだ

目に涙をためていた女性スタッフは

「すみません・・ すみません・・」

と謝り続ける

「北斗さん、彼女もこんなに謝っているんだし・・・」

他のスタッフは彼女を気遣うように、肩を抱く

自分の小さなケガで、この女性が職を失うなんて・・と焦ったココは

「北斗さん・・ そんなたいした事ないですから・・」

と冷やしていた手を氷の中から少し出すものの

「ココちゃん!まだ、出しちゃだめだよ!」

と他のスタッフに言われ、再び、氷の中へ手を戻す

「ほら・・ その目だよ?」

という北斗は女性スタッフを見ている

「あの・・・」

北斗の言葉に戸惑う女性スタッフ

「君は、この撮影の間中ずっと彼女を睨みつけていたよね?」

北斗のその言葉に女性スタッフの顔を曇る

「俺の作品は、俺だけじゃなく、ここにいるチームのものだと思っている 撮影に同行しない事務所のスタッフも含てね・・ みんないいものを作ろうと、同じ思いでいるんだ 君もそうだと思っていたけど、どうやら違ったようだね?」

北斗の言葉に女性スタッフは戸惑っている様子