憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

スタッフと変わらず話をしているように見える北斗と笑顔のココ

一見昨日までと同じように見える朝食だったが、その心中は全く別のものだった

ビュフェスタイルのホテルの朝食は、パンケーキ、ワッフル、種類の豊富なパン、卵料理に新鮮な野菜に果物、ヨーグルトやチーズなどの乳製品にジェリービーンズなどのお菓子まで沢山並んでいたが、ココはどうしても食欲が湧かず、フレッシュジュースを飲んでいるだけだった

そんなココが視線を感じ、ふと顔を上げると昨日の女性スタッフと目が合う

どうしていいのかわからない程睨まれているようだった

今までのココは、周りに流されないという自分の信念を貫いてきた

学校でもその信念の元に行動してきた

この撮影に参加を決めたのも、誰でもない自分だったはずなのに・・

それがどうだろうか・・

ここに来て、勝手に疎外感を感じ、見ず知らずの人に罵倒され、傷ついている

元々、気の強い性格のココは、一旦は落ち込んだものの、この女性スタッフにここまで睨まれる理由がないのではないかと思った

それでも、ここで彼女に問いただしても空気を悪くするだけなので、その視線に気がつかないように視線を膝に落としたものの

「そんなジュースだけじゃ、今日の撮影もたないよ? 何か取ってこようか?」

と隣に座っていたスタッフの声に、顔を上げるココ

「え?あの・・実はお腹が空いてここに来る前に部屋でつまんじゃったんです・・ だから、これで十分なんです」

なんとか、ごまかすココだったが

「そうなの? それで、この体型維持出来ちゃうんだからすごいよねぇ・・」

「本当! 肌も綺麗だし・・ 3歳の姪っ子と同じ肌してるし~」

ココの話題になったスタッフに、苦笑いのココだったが、この話題に居づらくなったので、別の飲み物をもらいに席を立った