憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

「知り合いねぇ・・・ 偶然居合わせるもの?」

「・・あの・・ どういう事ですか?」

「いや・・なんでもない」

北斗の言葉にココは戸惑った

「それより、体調はいいの? 夕べ、お腹が痛くなったって聞いたけど?」

「え? お腹?」

「あれ? 違うの? ココちゃんがお腹が痛くて、トイレからそのまま部屋に戻るって聞いたけど?」

北斗のその言葉に、あの女性スタッフがそう言ったのだと悟ったココは

「はい、ちょっと食べすぎたみたいです」

と笑ってみせた

「食べすぎって・・ ココちゃん夕べ全然食べてなかったよね?」

「え?」

「ごまかせると思ってる?」

「・・・・・」

北斗の鋭い指摘にココは一瞬目を泳がすも

「あの・・ 女の子の日で・・・」

「ふーん・・ 女の子の日ねぇ・・ まぁ、泳げなくもないけど、普通いやじゃない?そんな日にプールに入るのって・・」

「・・・・・・・」

もう、何も言うまいと思ったココは無言を貫く

「はぁ・・ ココちゃん・・ 何があったか話したくなけれなそれでも構わないよ?でも、勝手に解釈するのだけは勘弁して欲しい」

「・・・・・・・」

「さぁ・・ もうそろそろ朝食の時間だし、支度をしてきなよ? 今日も一緒に撮影頑張ろう!!」

北斗に促され、ココは立ち上がり、プールサイドを後にした

そして、北斗は歩いていくココの後姿にシャッターを切るのだった