憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

部屋に戻ったココはボーっとしながらシャワーを浴び、そのままベットに潜り込んだ

止まったと思った涙は、気付くと溢れだし、ココはどうしようもなく、一向に眠れなかった

空が白み始めた頃、ココはベットから抜け出し、プールへ降りていった

泣きはらしたせいで目は腫れていたし、涙を流しすぎたせいで体中の水分がなくなった気がした

水着に着替えたココはまだ誰もいないプールに飛び込んで、無心に泳ぐ

どれくらい泳いでいただろうか、ふと視線を感じて振り返るとカメラを首から提げた北斗の姿があった

「おはよう! 朝からそんなに泳げるなんて、流石10代!」

「いえ・・」

ココは北斗の視線を遮るように、バスタオルを肩から羽織る

そんなココにフッと笑みをもらした北斗は

「隣、いいかな?」

とココの隣のイスを指差す

ココは頷くのを確認し、腰を下ろした北斗は

「昨日は、誰に送ってもらった?」

ココの方を見ずに話しかけた

「えっと・・・」

急な話題に戸惑うココだったが

「昨日は、知り合いに会って、送ってもらいました」

と北斗に視線を移した

昨日、ココをバイクで連れて来てくれたのはダンだった

ママの古い知り合いで、レン兄からの信頼も厚い人

昔、この島に住んでいたことがあるようで、偶然通りかかったらしくココを乗せてくれたのだ

だけど、ダンの名前を北斗に言った所で知らないわけだし、言わなくてもいいと判断したのだ