憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

「持ってこれなくてって、ここまでどうやって帰ってきたの?」

「バイクに乗ってきました」

「バイク?」

「はい、ゆっくりしすぎて、気がついたら真真っ暗になっていて、一旦は自転車に乗ったんですけど、北斗さんに書いてもらった地図どこかいっちゃって、帰り道もわかならくて、どうしようもなかったんですけど、本当偶然、知り合いに会ったんです」

「知り合い?」

「はい、で、その人にここまで乗せて来てもらったんです」

「で、その人はどこにいるの?」

「すごい忙しいひとなんです もう帰っちゃいました!」

「そっか・・・」

北斗はココの言葉に少し考えるが

「ココちゃん、本当に心配したんだよ? 警察に捜索願出すところだったんだ 君は、御両親から預かっている大切なゲストなんだ」

北斗はココの顔を覗き込み、諭すように話す

「・・・・・」

「ここは日本じゃないし、君ももう17歳だ 大人な行動をしなきゃならない」

北斗の後ろでは、スタッフたちが心配そうに見守っている

「・・・・・」

「わかるよね?」

北斗の言葉に

「はい・・ すみませんでした・・」

ココは涙をこらえるのに必死だった

「じゃあ、お腹も空いたし、ご飯に行こうか?」

北斗は場の空気を変えるように明るく提案する

「本当っすね! 俺もうすっげー腹減ったし!!」

スタッフも気遣い、いつもよりテンションをあげている様子