憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

その頃、ホテルのラウンジでは大騒ぎになっていた

夕食の時間になっても姿を見せないココ

レンタサイクルに返却の有無を確認にいくとまだ返却されていないという

「自転車が戻ってないってことはホテルには戻ってないですよね?」

不安げに北斗に話しかけるアシスタント

「あぁ・・」

北斗は不安げにロビーの大きな窓から暗くなった空を見上げる

ココになにかあったら・・・

昼間に比べ、ぐっと減る観光客

やはり銃社会のアメリカ・・

若い女の子が陽が落ちてからひとりで出歩くのは相当危険だ

「北斗さん、地元警察に捜索願いだしますか?」

「あぁ・・ 免許持ってる奴はそれぞれ車借り手島内を探そう 」

北斗は不安を払拭するように一気に指示を出す

「わかりました! 今、レンタカーの手配してきます!」

「北斗さん! (ホテルの)支配人呼んで来ました! 一応ココちゃんの部屋確認してきます!」

北斗の周りのスタッフも慌しく動く

そこへ・・

「あれ? 何かあったんですか?」

話題の人物がひょっこり現れたではないか

「・・・・・・」

慌てていたスタッフはココの姿にその場に座り込む

「あれ? 北斗さん? みなさんもどうしたんですか?」

「・・ココちゃん? どこ行ってたの? 自転車はどうしたの?」

北斗はココを確かめるように両腕をグッと掴んだ

「自転車は持ってこれなくて置いてきました 明日、取りに行きます」

ケロッと答えるココ