「姫花もすげぇ葛藤してたし・・」

ココの視線の先には優しく微笑む父の姿があった

「北斗の撮影の話、ココの顔は出ないように配慮してくれるらしいし、何事も経験だぞ?それに、俺たちがこんなにも夢中になる世界の事、知りたくねぇか?」

「・・・・・」

「無理にとは言わないさ・・ ココがしたい事があるなら、その道に進めばいい でも、それが見えてないのならやってみる価値はあると思うぞ?」

「よく・・わからない・・ 確かに北斗さんの作品を観てゾワゾワーってなんかこう・・体中の血が沸騰した感覚だった この世界に行ってみたいって思った・・ でも、それを想像しようとしたけど、出来なかった・・ ソレもそう・・」

ここで言葉を閉ざしたココの視線の先にある“en en”

「・・・その中に私はいない レン兄ともジョーとも同じ血が流れているはずなのに・・パパとママの子どもなのに、私だけなんか・・違うんだ」

「・・心花・・ そんなに考えすぎるな・・」

潤也はそっとココを胸に抱き寄せた

「・・・・・・」

「心花は、みんなのお姫様なんだ・・ みんな心花がかわいくって、仕方がないよ? だから心花が嫌がることはしたくないし、望みは全て叶えてあげたい それが“ワガママ”って言われても仕方がないけど、みんながしたくてしているんだ 心花は大事な家族の一員で特別な存在だよ?」

「・・・・・・」

「でも、パパにとって、ママが世界で一番の女だし、離れて暮らしていた分の愛情を廉には注ぎたいと今でも思っている ココを追うように生まれてきた丈成だってパパにとっては特別なんだよ?」