憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

私が生まれるずっと前からモデルをしているママはとにかくセンスがいい

かといってホイホイなんでも買ってしまうわけではない

その代わり、買い物となると長い

お気に入りのお店1軒で済ますなんてことはあり得ないので、ぶっちゃけパパもママの買い物には積極的に同行しようとしない程で・・・

「こんなの、ココにすっごい似合いそう~」

私を生んだ人なのに、どうも私より感覚が若い気がしてしまうのは気のせいではないはず・・

それでも、そんなママに付き合えちゃうのは私が女で、ママの子どもだからなのかもしれない

「ママ・・ もうこんなに持って歩きたくないよ・・・」

表参道の並木道で、両手に紙袋を抱えた私は限界とばかりに立ち止まった

数歩先を歩いていたママは、私の声に振り返り

「もう・・若いのにダメね~ じゃあこの先で少し休もうか?」

と自分も両手に紙袋を持っているのに、ココの荷物を半分奪い取り、足どりも軽く歩き出した

その若さに呆れつつもココは姫花の後をついていくしかないのだった

しばらく歩いて、姫花の後を追うように入ったカフェでやっと一息ついたココ