憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

「・・・・・・」

「潤也から聞いたぞ?」

「・・・・・・・」

「俺はもうオヤジらしいから、今の若者の考えはわかんねぇけど、ココがどんな外見だろうが、中身は変わんねぇだろ?」

ガクはココの前にグラスを置き、オレンジジュースを注いだ

「・・・・・・・」

「まぁ ココなりの考えがあっての事だろうけどな? どっちにしても極端なのが目立つんだよ・・ 昨日までのココは地味すぎて逆に人目についてたんじゃねぇの?」

というガクの言葉を聞き、それまで俯いていたココはガバッと顔を上げた

確かにそうなのだ

目立たないように・・とするあまり余計に目立っていたのだ

元々作られたものの上にさらに目立たないように・・と考えるものだから、同じ地味な子とも一線をかくしていたのだった

「お? その様子だと思い当たる節があるとか?」

ココの様子に口角を上げニヤッと笑うガク

「ところで、さっきっからカバンの中が煩いけど、携帯鳴ってんじゃねぇの?」

とガクはココのカバンを顎でしゃくった

え?

ガクの指摘にカバンを開け、携帯を取り出したココの手の中でチカチカと着信を知らせるランプが点滅している

カチッ

携帯を開いて目に入った不在着信の嵐に顔が青ざめるココ

そして、レンとジョーふたりの着信が交互に入っていることにココの表情は一気に引きつっていく