憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

「あ・・いや・・ じゃあ次・・・・」

ジッとココに見つめられる事に戸惑った担任教師は慌てて、点呼を再開する

「はい」


教師陣の戸惑いは、その日一日全ての教科で同じ反応だった

そして、ふたりを見に来る生徒の数は、時間を追うごとに増えていったのだった

「ココ・・俺仕事だからもう行かなきゃなんねぇけど、お前一人で大丈夫か?」

授業もあと1時間で終わるというときになって、ジョーが眉をひそめてやってきた

「あれ? 今朝は今日はオフになったって言ってなかった?」

ココは今朝のレンの言葉を思い出していた

「それが、どうしても今日中に済まさなきゃならない撮影があったらしくて・・」

とジョー

「ふ~ん っていうかジョーより長くここの生徒してるんだけど? そんなに心配しなくてもいいって! 私がお姉さまなのよ? 弟君!」

とココはジョーのおでこを指で押した

「は? たった数分で姉貴ぶるんじゃねぇよ!」

物心ついたときから、自分が弟なのが気に入らないジョーは、スクールバックを持ち立ち上がった

「じゃあな」

「がんばってね~」

ジョーはチラチラと後ろを振り返りながら教室を後にした

この休み時間もふたりを見るために集まった生徒達は、騒ぎながらもジョーに道を空けていく

四方八方から触られ、カシャカシャと無断でとられる写メを無視して歩いていくジョーの後ろに続く生徒の列

ココはその様子を窓から眺めていた

校門の前で待つ車に乗り込むまで続いていくだろうと軽く予想がつく集団が見えなくなってもココはずっと外を見ていた

「やっと、番犬がいなくなった!」

そこへやってきたのは堀君