憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

助手席にココ、後ろにジョーを乗せたレンの車は、ちょうど登校時間と重なり、生徒で溢れかえった校門の前に横付けされた

「ジョーの今日のスケジュールは全部キャンセルしたから 放課後また迎えに来るから勝手に帰んなよ?」

と言いレンの車は去っていった

昨日の騒動を知らない生徒も、知っている生徒もココとジョーの登場に驚いている

特に、なぜジョーがここにいるのか

その隣にいる見たこともない美人は誰なのか

沢山の視線の中、ココとジョーは前を向き、歩いていった

教室に1歩入ると、それまで騒がしかったのが嘘のように静まり返った

ココはそんな教室に視線を送ることもせず、まっすぐに自分の席に座ったのだ

「え~ うっそ~」

「マジかよ!」

「俺が、あの東野かよ・・」

静かな教室で、ヒソヒソ声は丸聞こえだった

二人の後をついてきたほかのクラスの生徒もココとジョーを覗きに来て、廊下まで込み合っていた

そんな中、ココの前にできた人影にココは顔を上げた

「もしかして、東野さん?」

目の前には満面の笑みの堀君が立っていた

唯一話していたクラスメイトだったので、堀君はなんのためらいもなくココに話しかけてきたのだろうけど、ソレが偽善だったと知った今、ココにとっては、話したこともないクラスメイト以下の存在だった

「何か用?」

すぐに堀君から視線をそらしたココを見て、隣のジョーが声を掛ける

「え? あぁ・・ そういえば、君も東野くんだったね? ふたりはどういった?」

ココからジョーに視線を移した堀君

「どういった? ってなんだよ? 」

変に気取った言い方にカチンとくるジョー