憂鬱な姫君 (姫シリーズVol.5)

翌日、もう自分を偽る事に意味がなくなってしまったココは、憂鬱な気分で制服に袖を通した

あの後、キャサリンのサロンに行き、ショートボブにカットされた髪は、ココの細いうなじを際立たせていた

踏みつけられたメガネはその破片さえもなく、ココはその大きな瞳で鏡を見る

そして、今まで学校へはしていかなかった化粧を施した

レンが新しく用意した制服は、もう必要以上に長くはなかった

かといって、短すぎる長さでもなく、ココの身長とのバランスの良さは流石レンだ!と言ったところだろう

ココは、重い足取りでリビングに辿りついた

そこでは、昨日までのジョーではなく、少し髪をワックスで遊ばせ、制服さえもセクシーに着こなすジョーが、白米をかき込んで食べていた

その横には、新聞を読んでいるレンが座っていて、珍しく母親が台所に立っていた

「おはよ・・・」

バックをソファに置き、ココもイスに座った

「やっぱり、ココはどんな髪型でもかわいい~」

母親の姫花は、ニコニコしながらココにご飯と味噌汁を出した

「・・・・・」

そんな母親を無視して、手を合わせ、朝食をとり始めるココ

「姫花・・ ココは姫花の子どもだよ? かわいいに決まってるでしょ?」

とレンは新聞を片付けながら満足げにココを見る

「レン・・ 姫花じゃないだろ? 母親なんだから・・」

と父親の潤也がやってきて、姫花の腰に手を回し、軽くキスを落としている

そんな夫婦のやり取りを、チラッと見て、無反応の三人の子どもたち

「潤也・・・ ご飯は?」

そんな父親の扱いを熟知している姫花は、潤也を椅子に誘導している