そう、賢治が帰宅するとそこには姫花と潤也が座っていたのだ

それも、勝手に冷蔵庫を漁ったのか、料理が置かれ、ワインも開けられている

我が家のように賢治の分のグラスを持ってきた姫花

「つーか、コレ開けちゃったわけ?」

賢治が楽しみにしていたワイン

「ケチケチしないの! このくらいのワインいくらでも帰るでしょ?」

と姫花は惜しげもなくドボドボ注いでいく

このワインを買うには、フランスまで行かないと手に入らない

仕事で忙しい賢治にとって、その時間がないのだから貴重なワインだったのだ

「あ! オーブン!!」

本当に自分のキッチンのように走りまわる姫花

「来月ここ行くから1ダース買ってきてやるけど?」

姫花の後ろ姿を確認した潤也が笑って賢治に目を向ける

「何? 映画?」

「いや、モデルのほう」

「あ! コレクションの時期か・・・」

「そ。 つーかマジでココは?」

「あ~今日は遅くなるらしいよ?」

「アシは?どうやって帰ってくる訳?」

「車だろ?」

「は? デビュー前の小娘にお抱え運転手付きの車って事か?」

「はぁ? ココが自分で運転するんだろ?」

「「は?」」

「は?」

キッチンからもどってきた姫花と潤也の声がかぶり、それに賢治の声もかぶった