「で、お姫様は何をしているのかな?」

口角は上がっていても、笑っていない賢治が不満なココはそっぽを向く

そんなココに

「ったく・・・ 」

とため息をつきながら、ココの隣に座った賢治

「・・・・・・」

「・・・・・・」

しばらく無言が続く中、ココがそっと賢治を振り返った

そして、伺うようにして

「こっちの演劇学校に通う」

と言ったココの視線は賢治をしっかりと掴んで離さない

「・・・・で?」

「こっちの世界で生きていこうと思う」

「わざわざ?」

そう、なぜわざわざアメリカで?と賢治は言いたいのだ

「わざわざ? なんでそんな言い方・・」

とココの言葉を遮って

「そうだろ? 姫花に頼めば一発だろ? 」

嫌味にしか聞こえない賢治の言葉に

「そうだね」

とココも笑みを返す

「・・・・」

その笑顔に賢治は何も言葉がでない

「でも・・・ すぐに飽きられる・・・ そんなに甘くないのは知ってるくせに・・」

とココは賢治から視線を外した

「それ以上にこっちは甘くない」

賢治の真剣な言葉に、ココは再び視線を合わせた